活版印刷機の遺し方

今日はスクラップになるハイデルTPプラテンの部品取りをしました。
印圧をかけるレバーのノブが赤いので後期型です。

汚れは蓄積していますが、つい最近まで丁寧に使われていたようです。
小物類から順に外していきます。

このプレスは珍しい印刷と箔押しの兼用機です。
箔押しユニットも一式を取り外します。
写真にはありませんが、圧盤のジャケットには抜き型の跡が残っていて、活版印刷、箔押しに抜きと大活躍だった様子が伺えます。

休眠期間が長かったり管理が悪いプレスは金ローラーが錆びていることが多いのですが、これはピカピカだったのでインキユニットも確保しました。
車の荷室に満杯のパーツを確保しました。

このプレスは残念ながら印刷機としての使命を終えましたが、取り外した部品は他のプレスの維持管理に役立てたいと思います。

その昔、古い車に乗っていた時、入手の難しい部品や修理代を安く収める時に車の解体屋さんに通ったことがありました。
私が通った解体屋さんは広い敷地に廃車をたくさん積み重ねていて、小さな部品でも快く販売してくれました。
ハギトリやモギトリと言う面白いシステムでした。
ヤードに入ってすぐの事務所でオヤジさんに車種と年式と欲しい部品を伝えると、廃車が置いてある場所を教えてくれるのです。
自分の工具を持って一人でヤードに入り、聞いた場所を頼りにお目当ての車を探します。
車が見つかったら自分で部品を取り外し、事務所に持っていってオヤジさんと価格の交渉です。
値切り交渉はお約束みたいなもので、オヤジさんの機嫌が良いといくらか安くしてもらえました。

プラテンをバラしながら、20年以上も昔の事を思い出していました。
活版印刷機や活字のハギトリができたら面白いだろうなと妄想しながら、プラテンとの別れの寂しさを紛らわせていたのでした。

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